(本記事は連載の前に単体のレビューとして掲載されたものです) SONY PICTURES DIGITAL NETWORKS(以下SPDN)からリリースされたSCREENBLAST MOVIE STUDIOはすべての作業がリアルタイムで行えるという、非常に快適な編集作業を提供してくれるビデオ編集ソフトだ。 MOVIE STUDIOの前身は、SONIC FOUNDRY(以下SF)社のVIDEO FACTORYという製品。 旧SF社は、ACIDやSOUND FORGE(波形編集ソフト)から音楽ソフトメーカーというイメージが強いが、VEGASというプロフェッショナル用ビデオ編集ソフトも擁している。 MOVIE STUDIOのウィンドウは、画面上部にクリップを配置するトラックウィンドウ、下部の左にクリップを選択するエクスプローラウィンドウ、そして右にプレビューウィンドウという、一見独特の構成となっている。 各ウィンドウの大きさははドラッグで可変だが、ウィンドウ同士が重なり、下のウィンドウが見えなくなることがないのが秀逸である。 エクスプローラは、タブの切り替えで、メディアプール、トランジション、ビデオFX、テキストと効果を表示させられる。 編集の基本はエクスプローラウィンドウからビデオ/音声クリップをトラックにドラッグ&ドロップで並べるというもの。 トランジションやビデオFX(ビデオフィルタ)の適用も同じくドラッグ&ドロップである。 ビデオトラックは3本、上からテキスト、ビデオオーバーレイ、ビデオという名称だが、テキストトラックにビデオクリップを配置しても問題ない。 音声トラックも同じく3本。 クリップの配置でまず感心したのが、1トラックにクリップを重ねて配置した部分(いわゆるトランジションになる部分)には自動的に映像、音声ともにクロスフェードがかかるところ。 クリップの編集方法はいたって快適である。 また、クリップの長さ以上に伸ばす(右端を右にドラッグ)すれば、繰り返し再生となる。 音声編集では上記フェード、音量調整操作のほか、エンベロープを用いた音量、パン(左右の定位)の変化をオートメーションできる。 ビデオクリップの拡大・縮小、回転(パン・クロップ)などのモーション機能も利用可能だ。 キーフレームの追加はできないが、クリップの分割で工夫すればかなり凝った動きもつけられる。 タイトルに関してはテキストへの縁取り、シャドウ、変形(上下左右のいずれかををつぶす、水平垂直に圧縮など)といった修飾が施せる。 また背景色(単一色)の指定も可能だ。 また、スクロールのプリセットもスタッフロールに便利な気の利いたパラメータが用意されている。 こうしたエフェクト処理は動きの確認しつつパラメータを調整するという試行錯誤が必要になるが、それを強力にサポートするのが冒頭のプレビューだ。 MOVIE STUDIOはビデオ編集ソフトにしては珍しく、指定範囲の繰り返し再生(ループ再生)機能が用意されている。 エフェクトを施した部分を再生状態にしたまま、パラメータを変更していくことができ、その結果はプレビューウィンドウでリアルタイムで確認できる。 エフェクトだけでなくクリップの編集すべてにおいて再生状態で行えるというのはまるでDAWソフトのような操作感であり、ビデオ編集ソフトではこれまでなかった快適さである。 限られたページでは書ききれないほど豊富なビデオFX、音声エフェクトも簡単迅速に試せる環境でこそより威力を発揮する。 1万円台のビデオ編集ソフトに物足りなさを感じているユーザーは、Premiere Proに行く前に本ソフトのデモ版をぜひ試してみてほしい。
|
|||