カセットやMD、ICレコーダーなどで楽器演奏を録音したものに、DAWソフトでパートを追加したいという場合に困るのが同期。 クリックなしで録音したものはテンポが一定ではなく、小節・拍で時間を管理するDAWソフトで扱うにはちょっとむずかしいのが現実。リアルタイム録音でパートを追加するのはまだ大丈夫ですが、打ち込みパートを追加しようとするととたんに手詰まりになってしまいます。 でも、SONARなら、クリックなしで録音したオーディオデータのテンポ変化(ゆれ)に合わせて打ち込みパートを追加することができるのです。SONAR STUDIO、SONAR PRODUCERのみの対応(LEやHOME STUDIOは不可)だと思いますが、お持ちの方は試してみてください。 素材となるオーディオデータ今回素材として用意したのは、リニアPCMレコーダーで録音したギター演奏のオーディオデータ。 このオーディオデータをSONAR PRODUCER 8.5に読み込んで作業していきます。 このギター演奏にパートを追加するには、テンポを割り出すことが必要となります。 既存のオーディオトラックに合わせてボタンをクリックするという、「タップテンポ」機能を使うという方法もありますが、テンポ挿入の操作がけっこう面倒です。そこで使うのが「タップトラックにフィット」という機能です。 「タップトラックにフィット」とは「タップトラックにフィット」というのは、任意のMIDIトラックに1拍ごとにノート(音符データ)を配置して、それを元にテンポを設定するという機能です。 マニュアルには、
とあります。 作業としては、MIDIキーボードを利用して、MIDIトラックにリアルタイムでノートをレコーディング。このMIDIトラックを「タップトラック」と呼びます。タップトラックがレコーディングできたらあとは「タップトラックにフィット」を「プロセス」メニューから実行すれば完了となります。 詳細はヘルプを参照いただくとして、実際の使い方を動画で見ていただきましょう。 動画で見る「タップトラックにフィット」より大きいサイズで見たい場合は、クリックしてYouTubeのサイトへ飛んでください。 ここでは簡単に手順を書き記しておきます。
ここでいくつか注意点も。 動画ではすでに1、2の作業が終わった状態から始まります。 ガイド用に用意したグルーブクリップはSONAR付属のサンプルです。テンポを変更しても同期するよう情報が付加されたオーディオクリップの一種で、SONARには多数付属しています。テンポがつかみやすいものならどれを選んでもかまいません。 タップトラック録音前にタップテンポを使っているのはおおまかなテンポを出すためと、カウントイン用のクリックが聞けるようにするため。もちろん、録音時のカウントインを設定しておくことも大事です(これをしないと録音操作後すぐに鍵盤が叩けないため)。 MIDIノートのレコーディングですが、この際の音程はどれでもかまいません。ノートが適正な位置にあることだけが大事です。 今回の動画ではMIDIレコーディング時にプレビューをOFFにしていますが、音を確認しながらのほうがやりやすいという場合は、適当なソフトシンセを立ち上げてタップトラックの出力先を設定しておくとよいでしょう。 MIDIレコーディング後のイベントリストでの編集ですが、最初のノートを1小節目の1拍頭にくるようにできればいいので、イベントリストではなくピアノロールを使ってもかまいません。 また、タップトラックの録音が一回でできなかった場合(途中でつかれた、など)は、複数回に分けてもかまいません。この場合、MIDIクリップが複数に分かれてしまいますが、「タップトラックにフィット」を実行する前にクリップを結合しておきましょう。 オマケとして、ストリングスなどを加えたもの。ステップ入力で白玉&アルペジエイターで手抜きですが、同期の例ということで。 この機能を使えば、友達の「オレが録音した弾き語りにバッキングをつけてくれよ!」なんて無理な注文にも応えられるかも?
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