現在最も人気集めているDVDレコーダーがソニーのスゴ録シリーズである。 G-GUIDEを用いたEPGや「おまかせまる録」機能、低価格ながら大容量のHDDを搭載するなど、DVDレコーダーを初めて買うという人にとってはわかりやすいセールスポイントが目白押しで、確かに売れるだろうなあ、と思わせられる。 そして、実機を使ってみると、やはりその操作はわかりやすく、多くのユーザーは満足しそうだなあ、と感じた。なるほどよくできているのである。 これをPCとの連携で解消できないか、というのが今回のテーマである。 いつものようにDVD-RW採用の他社製品でも応用がきくように進めていきたい。 ■DVDで残すには役者不足? 本連載のゴールは、DVDメディアに録画番組を残すことにある。 DVDレコーダーが作成してくれるメニューの出来がよければPCを使わなくても済むはずだ。 しかし、スゴ録で作成できるメニューは番組タイトルのリストだけといういささかそっけないものだ。 次にメニューが不要のDVDが作りたい場合。 しかし、曲ごとにインデックスをつけたい音楽番組などではこれでは役に立たない。 スゴ録で手動でチャプターが設定できるのは、HDDに録画したタイトル、VRモードのDVD-RWに録画したタイトルのみとなっている。 ここでもまたPCに登場してもらわなければならないのである。 スゴ録は簡単に録画予約ができ、録画した番組はいつでも見られる、消せるという点では使いやすいのだが、DVDに残すとなると機能の不足が目立つ。 ■PCへのデータ移動スゴ録は多くのメディアへの対応も特徴の1つだ。 DVD-R、DVD-RW、DVD+RWの3種類が利用可能で、DVD-RWの場合はビデオモードとVRモードが選択できる。 PCへのデータ移動には何を利用すべきだろうか? 利用するオーサリングソフトの機能も考えなければならないのだが、ここではチャプターの手動設定ができるほか、プレイリストの作成やファイナライズ後のタイトル追加も可能なDVD-RWのVRモードを選んだ。 とはいえ、DVD-RWのVRモードはPCとの連携に少々面倒なことがある。 これはUDFドライバと呼ばれるソフトウェアの問題である。 しかし、VRモードのDVD-RWの読み込みには別途UDFドライバの導入が必要になる。 連載第1回で紹介したユーリードDVD MovieWriter Advanceおよびその後継製品となるDVD MovieWriter 3は、独自のUDFドライバを内包することで、VRモードのDVD-RWからのタイトルインポートを可能にしている。 一方、前回紹介したTMPGEnc DVD Author(以下TDA)もVR対応ではあるものの、エクスプローラでファイルが認識できるメディアでないと、インポートは不可である。 VRモードのDVD-RWの読み取りにはVOB社のInstantReadを使うのが長く定番とされてきた。 InstantReadの導入によりエクスプローラからの参照が可能になり、TDAのVRインポートも利用できるようになる。 2時間番組をSPモードで記録すると、ほぼディスクいっぱいになってしまう。こうなるとInstantReadでは手に負えないのである。 次に試したのがWinCDRでおなじみのアプリックスのPacketManリーダーである。こちらは同社のパケットライトソフトのPacketManで記録したディスクを読めるようにするドライバだ。アプリックスのサイトにて無償配布が行われている(http://www.aplix.co.jp/cdr/products/upgrade/index.html)。 PacketManリーダーは4Gバイト以上記録されたメディアも問題なくエクスプローラで参照が可能になった。 ここまでくれば話は簡単で、本連載でこれまで紹介してきた手法で、PCを使ったオーサリングが可能になる。 もちろん、メニュー画面を見栄えよくしたいという要望も十分にかなえられる。 UDFドライバの導入が面倒、編集作業はPCですべてやる、というのであれば、PCへの移動にビデオモードでのダビングを使うという手もある。オーサリングソフトの機能や、自分の好きなやり方に合わせてメディアを選んでもよいだろう。 ■スゴ録の編集機能の限界 スゴ録でDVD-Rを作成する際の制限として、任意の位置にチャプターが打てないことは前述した。 まずはタイトルの分割ができない点である。 たとえば、DVDに約2時間収録可能なSPモードで4時間の番組を録画したとしよう。この番組をDVDに収めるには再エンコードによる「録画モード変換ダビング」を行うしかない。 問題はより長時間の番組である。 ウリであるところのEPGもこの仕様の前には魅力半減である。 プレイリストがハードディスク内では作成できないのも残念だ。 プレイリスト編集で必要な部分だけをピックアップして、DVDにコピーという編集方法は、DVD-RAMレコーダーでは当たり前ともいえるもの。特に東芝のレコーダー(RDシリーズ)では推奨されている方法だ。 確かにA-B間削除は概念的にわかりやすいが、メディアによってできる編集が異なるという方がわかりにくいと感じる。 こうした仕様は、残念ながらPCとの連携でも解決できない問題である。 DVDに残すことを最終的な目標とするなら、DVDレコーダーの編集・ダビング周りの機能をよく吟味しなくてはならない、PCでカバーできる範囲には限界がある、というのが今回の結論である。 タイムシフト視聴が目的であれば、スゴ録はベストに近い便利さなのだが、目的が異なればベストにはならない、というわけだ。
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